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ノロウイルスに汚染される水道水

      2019/06/12

ノロウイルスの季節になりました。

学校や病院などでは、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎を防ぐために手洗い励行を促すポスターが貼られていて、近くには手指消毒用のジェルなんかが置かれている訳ですが、残念なことにノロウイルスの感染経路は手指だけではありません。

ノロウイルスの感染経路は、

人間から人間への感染

  • 感染者の大便や嘔吐物に含まれたノロウイルスが、便器・ドアノブ・手指を介して感染
  • 感染者の大便をトイレに流す時に発生する飛沫による空気感染(飛沫感染・手指との複合型もあります)
  • 感染者の大便や嘔吐物が乾燥し、含まれたノロウイルスと共に飛散し、空気感染(飛沫感染・塵埃感染)
  • 手洗いが不十分な感染者が調理した食品を食べたことによる感染

飲食物から人間への感染

  • ノロウイルスを濃縮・蓄積したカキなどの二枚貝を食べることによる感染
  • ノロウイルスに汚染された食品を食べることで感染
  • ノロウイルスに汚染された井戸水・水道水を飲むことによる感染

これらの感染を防ぐためには、

  • 逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)
  • 消毒用エタノール
  • アルコール除菌スプレー・手指殺菌消毒剤
  • 次亜塩素酸ナトリウム(最も効果があると言われています)
  • 85℃以上1分間以上の加熱

が有効であると言われていますし、多くの人はレベルに違いがあってもやっていると思います。

しかし、感染経路の一つに非常に厄介なものが含まれています。

それは

「ノロウイルスに汚染された井戸水・水道水を飲むことによる感染」

なんと水道水がノロウイルスに汚染されている可能性があるんです。(井戸水は昔から生で飲むのはNGだと言われていますので、余り問題はないと思います。)

水道水は濾過もされて、その上塩素で消毒されているので、ウイルスで汚染されていることなんてないと信じています。しかし、ゴミやミジンコやアメーバなどの生物、大腸菌やウェルシュ菌などの細菌類を除去したり、殺菌することはできても、塩素耐性がある

ノロウイルスは活性を維持したまま水道水に混入

してしまいます。これからの時期、ノロウイルスが流行すると、トイレなどを通して下水処理施設にノロウイルスが混入しますが、下水処理施設ではノロウイルスを不活性化する処理はしないため、そのまま河川や海に流され、一部は河川を介して上水道施設に入り、水道水に混入した状態でタップまで送られることになります。

  • ノロウイルスが流行すれば流行するほど
  • 下流域であればあるほど
  • 人口密集地であればあるほど

多くのノロウイルスが水道水に混入している可能性があり、注意が必要です。

水道水によるノロウイルス感染を防ぐために

過去記事「菌1個で食中毒は発症するのでしょうか?」で紹介しましたが、体調・体質・年齢・体重などによって違いはあるものの、食中毒を起こすのに必要な菌やウイルスの数は、

  • ノロウイルス:10~100個程度
  • O157:100個程度
  • カンピロバクター:数百個程度
  • サルモネラ菌:10,000~100,000個程度
  • 黄色ブドウ球菌:100,000~1,000,000個/g程度(※菌数0でも、エンテロトキシンがあると危険)
  • 腸炎ビブリオ:1,000,000個以上(好条件下では10分に1回分裂するので軽視は禁物)
  • コレラ菌:10,000,000,000個(100億個)程度

であると考えられています。

食中毒などの感染症を引き起こす菌やウイルスの中で、ノロウイルスはダントツに少ない数で感染を起こす恐れがある要注意ウイルスです。人間の体外では増殖することが出来ないのがせめてもの救いですが、そんなに少ない数で感染を引き起こす恐れがあるノロウイルスが水道水の中に混入しているかも知れないとは悪夢です。

健康なこどもや大人が大丈夫だからと言っても、腸内フローラがしっかり形成されておらず免疫が不十分な乳児や高齢者は更に少ない菌数でも感染する可能性がありますので、これからの季節は水道水にも十分注意が必要です。

ノロウイルス等検出速報 IASR

上は国立感染症研究所の「都道府県別ノロウイルス、サポウイルス、ロタウイルス検出報告状況、2014/15-2016/17シーズン」ですが、ノロウイルスが流行している地域では、水道水にも注意が必要です。

  • 免疫の弱い人
  • 乳幼児
  • 高齢者

は、水道水をそのまま飲むことは避けて、沸かしたものを冷まして使うか(白湯)、ミネラルウォーターや蒸留水を使うと安心です。

今まで特に思い当たる原因(カキを食べたり、学校や幼稚園・保育園に通っているなど)がないにも関わらず、ノロウイルスに感染した人の中に、水道水が感染源になっている可能性があることを否定はできません。

住んでいる地域でノロウイルスが流行している時期は特に注意してくださいね。

 - 健康, 生活, 病原菌, 福祉, 育児, 食中毒, 食品

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