あんしん あんぜん はりねずみ

毎日を安心して安全に過ごしたい。そんな想いに役立つ情報をお届けします。

*

矯正ゴムによるラテックスアレルギー発症にもご注意ください

      2019/06/12

歯列矯正をやったことがない人には「何のことやら」でしょう。

ですが、歯列矯正をやったことには分かるあのちっちゃい輪ゴムです。

正しくは「顎間ゴム(がくかんごむ)」または「エラスティクスゴム」と言います。

でも、正式な名称はほとんど知られていなくて、医療関係者以外は「矯正ゴム」と呼んでます。

「矯正ゴム」ってこんな感じです。

その矯正ゴムですが、ラテックスで出来ています。そのため、ラテックスアレルギーに注意が必要なんです。

ラテックスアレルギーってどんなアレルギーなんでしょうか?

アレルギーと言われて、まず最初に思い付くのが花粉アレルギーでしょうか。まさに今シーズンが始まったばかりですし。

今シーズンの花粉の飛散量は昨年の4.4倍とか恐ろしいことが言われていて、花粉症の一人として今からガクブルなんですが、この花粉症に関連して、果物によるアレルギーに対する注意喚起がさかんにされています。

<医療>花粉症の子は果物アレルギーにも注意

「なんで花粉症で果物アレルギー?」って思うかも知れませんが、アレルギーには交差反応と呼ばれる反応があって、本来アレルギーを持っているアレルゲンとは別のもので反応が出てしまう可能性があるんです。

全く別物であっても、免疫系が「同じ」だと勘違いしてしまい、アレルギー反応を起こしてしまうようです。

ブタクサ(キク科)の花粉とメロン(ウリ科)の果肉は全く別物ですが、交差抗原性があるとされて、ブタクサによる花粉症がある人がメロンを食べると、アレルギー症状のひとつである「口腔アレルギー症候群(OAS)」を発症する場合があります。

これが交差反応です。

通常は口や喉のかゆみやピリピリ感だけですが、これが体のかゆみや呼吸がし難いなど、口の中(口腔)以外に症状が出て来るようになった場合は、アナフィラキシーショックを起こす恐れもあるので、要注意です。

そして、花粉症で起こる交差反応と同じことがラテックスでも起こります。(ラテックス・フルーツ症候群と呼ばれます。)

天然ゴムを含むラテックスは、ゴムの木の樹液が原料です。その中にはある種の植物に種類を超えて存在するタンパク質が含まれていて、それがラテックスによる交差反応の犯人になってしまいます。

ラテックスとの交差抗原を含む食べ物
バナナ バショウ科
キウイ マタタビ科 
クリ ブナ科 
アボガド クスノキ科
クルミ クルミ科
トマト ナス科
ジャガイモ ナス科 
パパイヤ パパイヤ科
メロン ウリ科
グレープフルーツ ミカン科
イチジク クワ科
ピーナッツ マメ科
パッションフルーツ トケイソウ科
パイナップル パイナップル科
モモ バラ科
セイヨウナシ バラ科
リンゴ バラ科
イチゴ バラ科
ココナッツ ヤシ科
ビワ バラ科
サクランボ バラ科
スイカ ウリ科
ネクタリン バラ科

※これが全てではありません。

もしラテックスアレルギーになってしまうと、以上のような果物や野菜を食べるとラテックス・フルーツ症候群を引き起こすため、症状が口の中に収まらなくなった場合は、食べることができなくなります。もし症状が「口腔アレルギー症候群(OAS)」だけであったとしても、食べることは避けた方が安全です。

矯正ゴムが原因でラテックスアレルギーを発症するリスクがあります

もしラテックスアレルギーであることが分かっている場合は、矯正ゴムの使用可否以前に、歯科医院で使用するゴム手袋でアレルギー症状を起こす恐れがありますので、事前に歯科医師に相談しなければなりません。

実際に歯科治療中や外科手術中などにアナフィラキシーショックを起こす例は海外では珍しくなく、また国内でも症例が増えていると言われています(参照「第4回 日本ラテックスアレルギー研究会」)ので、こどもや自分がラテックスアレルギーではないかについて注意を払う必要があります。

ただ、現在ラテックスアレルギーではない場合も、矯正ゴムを装着することによってラテックスアレルギーを発症するリスクがありますので、歯列矯正中で矯正ゴムを使用している時は、以下のことにご注意ください。

  • 矯正ゴムやアンカーで擦れることで口内炎を起こしている
  • 抜歯などによって口の中に傷がある
  • 誤って噛んでしまい、頬の内側や舌に傷がある

などの場合は、かかりつけの歯科医師に相談し、傷を治療して完治するまでは矯正ゴムの使用を見合わせた方が安全です。

特に矯正ゴムやゴムをかけるアンカーなどと擦れて口内炎を起こしているような場合は、感作を起こすリスクが高くなりますので、注意してください。もしかすると、既に矯正ゴムが原因の「口腔アレルギー症候群(OAS)」を発症している可能性もありますので、「たかが口内炎」と思わずに、念のため歯科医師に相談してください。

ラテックスアレルギーが発症すると、日常生活にも医療行為にも大きく広く影響を及ぼしますし、ラテックスと交差反応が起きる食品も非常に多く存在するため、ラテックスアレルギーを発症させないように注意することは非常に価値があります。

矯正ゴムを使用中に、口内炎ができたり、少しでも口の中に違和感(矯正器具の違和感とは別に)を感じたりするようなことがあれば、様子を見ずに、早めに歯科医師に相談し、対応をするようにしましょう。

 - 健康

  関連記事

NOドラッグ
シャラポア選手は筆舌に尽くしがたいほど無思慮なのか

3月8日、シャラポア選手がドーピングテストにおいて禁止薬物「メルドニウム(Mel …

眼の保護
こどもの眼鏡は補助があるの?

こどもが眼科検診で眼鏡が必要だと言われると親はショックです。 こどもがこの先ずっ …

36年連続1位の加賀屋で腸炎ビブリオ食中毒

食中毒は本当に怖いです。5月末に知人がどこかの河口でとってきたシジミで食中毒を起 …

豚
とうとう豚の生レバー提供禁止

5月27日、豚の生レバーの提供禁止が決定しました。6月中旬から、豚のレバーを提供 …

ガス注意
ガスパン遊びは超危険 一呼吸で命を落とす危険性があります

ガスパン遊びは単なる酸素欠乏状態です アンパン(シンナー)遊びについては余り言わ …

肺
肺に吸い込んだ異物は蓄積され、将来の病気への砂時計を進めます

私たちは健康な時は全く意識せずに呼吸をしています。風邪をひいたり、飲み込んだもの …

ノロウイルス
食中毒 市の営業自粛要請を無視で感染者拡大

営業自粛要請には強制力がありません 広島県広島市中区の旅館が、食中毒を起こした疑 …

慢性疲労
その慢性疲労 食物不耐症が原因かも知れません

慢性疲労、本当に辛いですよね。外からは分からないため、慢性疲労を訴えても「気のせ …

エナジードリンク
エナジードリンクで中毒死しないために

エナージードリンクの大量摂取は危険です 福岡でカフェイン入り飲料を大量に飲んで男 …

大森山動物園でコクチョウがA型インフルエンザ陽性確定でも比内鶏に問題なし

11月15日、秋田市大森山動物園で飼育されていたコクチョウが死んで、1羽から簡易 …