眼の粘膜からインフルエンザウイルスに感染するのか問題
2019/06/12
インフルエンザウイルスは粘膜に感染します
インフルエンザウイルスはヒトの鼻や気道の粘膜にウイルスが付着して感染します。
感染した人がクシャミや咳をした時のウイルスを含む飛沫を吸い込んでの飛沫感染や飛沫が乾燥して空気中を漂うウイルスを吸い込んで空気感染、そして飛沫が付着した物を介しても接触感染があります。
飛沫が眼に入ったり、ウイルスが付いた手で眼を触って感染することもあり得ると言われていますが、実際のところ、眼の粘膜から感染を起こすのでしょうか。
眼の粘膜から感染するかどうかは良く分かっていない
みたいです。
目の粘膜からも感染するという人も眼の粘膜からは感染しないという人もいます。
ざっくり「口、鼻、眼の粘膜に感染を起こします」という記載は数多く見付かりますが、実際に
- 眼の粘膜への感染
- 鼻涙管を通じてウイルスが鼻に流れ込んで感染
について説明する記載が見付かりません。
ただ、見付からないから感染しないということにもならないと思います。
良く分からないというのが正解かも知れません。
それでも眼からの感染にも注意した方が安全です
インフルエンザは絶対に眼の粘膜から感染しないと証明されるまでは、眼の粘膜からの感染にも注意した方が安全です。
- マスクを装着していても、感染者には近づかない
- 指で目をこすったりしない
- 正しい手洗いを実施して、手指の清潔を保つ
仮にインフルエンザが眼の粘膜から感染しないとしても、眼の粘膜から
- 流行性角結膜炎(はやり目)
- 咽頭結膜熱(プール熱)
- 急性出血性結膜炎
- ヘルペス性結膜炎
などに感染する恐れがありますので、むやみに目をこすらない、手指を常に清潔に保つことは非常に重要です。
インフルエンザの知られざる特徴
インフルエンザワクチンは、その名前から香港とかロシアから風に乗って飛んでくるような印象がありますが、実際はそんなに生命力(?)強くはありません。そもそも細胞内寄生体なので、寄生主の細胞の外では長い間生きることができないのです。
また、人間の皮膚の表面にはリボヌクレアーゼ(RNase)というリボ核酸を分解する反応を触媒する酵素があるため、皮膚に付着すると分解されてしまいます。そのため、皮膚に付着したインフルエンザウイルスが生存できる時間は、5分間未満と言われています。
無菌室の中で、プラスチックや金属に付着したインフルエンザウイルスは1~2日間生存したのが最長記録というほどで、人が触れる物にはリボヌクレアーゼ(RNase)が付着しているため、付着したインフルエンザは長い間生存できません。紫外線にも弱いため、紫外線が当たる場所では、生存時間は更に短くなります。逆を言うと、紫外線が弱まる冬にはインフルエンザがヒトの体外で生存できる時間が長くなります。
多孔質の物の上では生存時間が短く、紙の上では、リボヌクレアーゼ(RNase)を完全に除去したとしても15分間程度しか生存することはできません。
ですから、大人の場合は、インフルエンザウイルスを接触感染から感染することはかなり少なく、飛沫感染や空気感染が殆どになると思われます。マスクは隙間から空気が入り込みますし、口で呼吸をしてしまう場合もありますので、マスクをしていても、インフルエンザ感染者に近づかないことが一番の感染予防策になります。インフルエンザに感染したら、外出しないようにすることが社会的にインフルエンザウイルスを拡散しないために非常に有効かつ重要です。(こどもの場合は、指を口や鼻に入れる頻度が高く、保育の状況などによっては、接触感染を引き起こす可能性が大人よりもずっと高くなります。)
インフルエンザの季節、つり革や手すり、会社の書類や図書館の本からインフルエンザウイルスに感染するのではないかと不安になってしまいますが、可能性はそれほど高くはありませんので余り不安を感じる必要はありません。
ですが、ノロウイルスなどは乾燥した状態でも
- 8週間程度(4℃)
- 3~4週間程度(20℃)
生存すると言われていますので、インフルエンザに感染しなくても、他のウイルス感染症に感染する恐れがありますので、常に
- 正しい手洗いの実施で手指を清潔に保つ
- 指で顔(特に口、鼻、目)を触らない
ようにすることが大切です。
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