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ゴキゲンじゃないフォルクスワーゲンの不正

      2019/06/13

フォルクスワーゲン(VW)がアメリカの排ガス規制をクリアするために不正を行っていたことが発覚しました。その台数は1100万台にのぼると言われ、タカタのリコール台数には及ばないものの、意図的に不正をはたらいてディーゼル車を排ガス規制に通していたという事実は、フォルクスワーゲン(VW)の信用のみならず、ディーゼル車全体への信頼も揺らいでしまいそうな衝撃を持って受け止められています。

日本国内では「ゴキゲンワーゲン」というコピーを使ってイメージチェンジを図ろうとしていた矢先の出来事。日本では「ワーゲン」の方が通りがいいものの、ドイツではワーゲンは「自動車」を意味する単語なので「ゴキゲンワーゲン」というコピーはドイツ本社がなかなか許さずに苦労したという話をテレビで観ましたが、そこで気にしたイメージは全く次元の違う大きさで傷がついてしまう結果になりました。

フォルクスワーゲンの不正の内容

どうしてそんなことしようと思ったかなーと思うほど大胆な内容です。

アメリカの排ガス規制をクリアするために、ディーゼルエンジン車のコンピューターに不正ソフトを仕込んで、

  • 通常走行時排ガス抑制・浄化装置が働かず、燃費が向上→その代償として排ガスが増加(最大でNOxが基準値の40倍)
  • 検査実施時:排ガス抑制・浄化装置がフル活動して排ガスが基準値をクリア→その代償として燃費は悪化

検査上で行う排ガス検査を察知して自動で検査モードに入る仕様になっています。本当によくできた仕組みです。一般ユーザーは燃費しか気にしない、検査機関は排ガスしか気にしない。そこを狙ったんですね。車両ラインに入る前にマフラーにバッフルを付けて、車検後に外すちょいワル業者と似ています。

マフラー付けたり外したりもダメですが、これをメーカーがやってはいけません。しかも、世界で最もこういうことに厳格だと思われている(た)ドイツのメーカーがするとは。時代も変わりました。

有害物質削減と燃費を両立させたクリーンディーゼルは幻だったのでしょうか

そうではありません。

エンジン開発競争がし烈を極める中、メーカー各社は様々な提携をして生き残りに必死です。フォルクスワーゲン(VW)も提携していたスズキとすったもんだの挙句に提携解消になったばかりです。

技術開発がうまく行かない中、数字を上げなければいけないというプレッシャーから悪事に手を染めてしまったのでしょう。近いところでは東芝の不正会もがありましたが、粉飾決算で株主を騙すことに比べると、エンジンの技術開発という根本部分で顧客を騙してしまったことは非常に悪質であり、そしてそれゆえに大きな反動になって返ってくることでしょう。

ただ、影響はフォルクスワーゲン(VW)だけに留まらず、クリーンディーゼル全体に及んでしまいそうで心配です。

一時期は傘下にあったAudiとの差はますます大きくなってしまいました

1956~1964年まではダイムラー・ベンツの傘下にあり、1964年以降はフォルクスワーゲン(VW)の傘下にあったAudiですが、1969年にはアウディNSUアウトウニオンとなり、1985年に社名をアウディに変更して現在に至ります。

そのAudiと比べるとフォルクスワーゲン(VW)は技術開発が弱い印象があります。ヒトラーの国民車(フォルクスワーゲン)計画の呪いにも思えてきます。国民車から抜け出そうとしたものの、結局国民車から抜け出すことができなかったのかも知れません。

仮に経営破たんしたとしてもフォルクスワーゲン(VW)ブランドが無くなることはないでしょう。ただ、今回の事件がきっかけで再びどこかと提携するか、最悪は傘下に入る可能性も考えられます。逆転してAudiの傘下に入ってしまうなんてこともあり得るかも知れません。

どんな形にしても、社内不正を防止する体制や文化をつくって、いつか完全復活してくれることを願っています。

と同時に、たった数名が関わった(と言われる)不正で1100万台に影響が出て、会社が最大180億ドル(約2兆1600億円)という天文学的な金額の制裁課徴金を受けるという今回の事件は、企業のリスク管理についても新たな課題を与えたと思います。大変な時代になりました。

 - リコール, 安全, 生活, 自動車

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