インフルエンザワクチン製造大手が書類を紫外線で偽装
2019/06/13
読売新聞によると、インフルエンザワクチンの国内シェア3割を持つ製造メーカー大手が、紫外線を使って書類を古く見せかける偽装工作を行っていたことが発覚しました。
化学及血清療法研究所が紫外線を使った書類の偽装工作
一般財団法人・化学及血清療法研究所は、
- 血液製剤
- ワクチン
を国が未承認の方法で製造をしていました。その問題に関する第三者委員会による調査において、紫外線を使って故意に古い書類のように見せかけるための偽装工作が行われていたことが発覚しました。
本来存在すべき書類が無いことを隠ぺいするため、新たに作った書類を紫外線で古く見せる偽装工作を図ったものと考えられています。
この化学及血清療法研究所の不祥事でワクチンや血液製剤29種類が出荷自粛をされ、定期接種の4種混合ワクチン(ジフテリア、百日ぜき、ポリオ、破傷風)は国内消費量の2/3を製造していたため、一部医療機関では接種に支障が生じるという影響も生じていました。化血研の調査結果を検証し、品質や安全性に重大な影響を及ぼす可能性は低いとして厚生労働省は11月26日に自粛を解除しましたが、今回の偽装工作の発覚によって、化学及血清療法研究所の信用は大きく失墜しました。
化学的ではあるものの、幼稚な偽装工作
ワクチンや血液製剤を作る会社だけあって、隠ぺい工作も科学的ではありました。紫外線を使った書類の製作時期の偽装とは、まるでスパイ映画のようですが、会社内だけであれば偽装できますが、厚生労働省相手では通じないと素人でも思います。
上役からの追及を逃れるために今回の失態の担当者が苦し紛れにやったのであれば理解できますが、もし会社ぐるみで、この方法を使って隠ぺいを試みたとしたら、上層部を総入れ替えしないと危なくてワクチンや血液製剤の製造など任せることができません。
今回の最終報告書を受けて、近いうちに厚生労働省は化学及血清療法研究所に立ち入り検査を実施した上で、行政処分を下す方針としています。こどもを含めた全ての人の命に関わることです。責任は徹底して追求して頂きたいです。
偽造防止にも、偽装にも使われる紫外線
パスポート、ID、紙幣などの一部には紫外線を当てると浮かび上がる偽造防止の仕組みがあります。海外の銀行で紙幣を出すとブラックライトの下で一枚ずつ確認され、確認が終わるまでは何となく落ち着きません。
そんな紫外線が今回は偽装に使われました。
考えてみれば紫外線で紙などは色が褪せたり、黄ばんだりします。太陽光線よりもはるかに強い紫外線を照射すれば短時間で似た効果を出すことができてしまいます。気が付いていないだけで、この手の偽装工作は他でも行われているのかも知れません。贋作の掛け軸を古く見せたり、Tシャツをビンテージ風に見せたり。そんなこと位しか思い付きませんが、何かの時に役に立つかも知れないので、頭の隅に置いておこうと思います。
悪いことを考える人は色々なところに潜んでいます。「これは年代ものですよ」と言われた時には、今回の件を思い出して、偽装工作の可能性がないか確認してみましょう。(あんまりそんな機会はないと思いますけど、念のため。)
あとがき
その後の報道で、今回の隠ぺい工作は、製品の発売が遅れることを恐れて、常勤理事会で承認された組織ぐるみだったことが分かりました。薬害エイズ問題でも同じような資料ねつ造などの隠ぺい工作があったのではと疑ってしまいます。
国の承認書とは違う製法40年以上も隠ぺいを繰り返しながら不正に製造してきた組織に自浄の能力はないでしょうから、今回は大ナタを振るって頂きたいです。
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