ラプラタカワイルカ アルゼンチンの海岸で自撮りなどの犠牲に
2019/06/12
希少なラプラタカワイルカが自撮りのために死にました
正確に言えば、自撮り他、人間のわがままな好奇心と無知の犠牲になりました。
ブラジルからアルゼンチにかけて生息するラプラタカワイルカは、完全に淡水で過ごす他のカワイルカと違って、海水や河口近くに生息しています。
今回犠牲になったラプラタカワイルカは海岸近くを泳いでいるところを捕らえられました。成体でも体調1.6~1.8メートルと比較的小さな種ですが、今回捕らえられた固体は未だ幼いこどもでした。
イルカの皮膚はウェットスーツのようにツルツルで、結構強そうに見えます。事実、イルカの皮膚の代謝は2時間と言われていて、イルカが高速で泳げるのは古くなった皮膚の表面が剥離することも貢献していると言われています。また、サメなどに噛まれて、大きな裂傷を負っても、失血多量で死ぬこともなく、また元通りに皮膚が再生する強さもあります。
でも、一方で水から出されると、
- 皮膚が乾燥してしまい、火傷のような損傷を受けてしまう
- 皮膚が乾燥すると体温調節が上手くいかなくなり、脱水症と熱中症を起こしてしまう
- 自重で肺が潰れて、呼吸ができなくなってしまう
という弱さもあります。今回捕まったラプラタカワイルカはこどもでしたので、特に体は弱く、直ぐに衰弱していったものと思われます。岸に打ち上げられたイルカが、半身ほど海水に浸かった状態でも直ぐに衰弱が始まって、人が海水をかけ続けても多くは助からないというほど、イルカは水の外では繊細で弱い動物なんです。
今回は、捕獲され、
- 見たい
- 触りたい
- 自撮りしたい
という観光客によって、トロフィーのように掲げられて、多くの人から触れて、撮られ、衰弱し、最終的には絶命しました。
絶命したラプラタカワイルカのこどもは海岸に打ち捨てられ、その後も無慈悲な観光客によって囲まれ、自撮りの対象にされていました。
まさに惨劇。
イルカは水の外では長く生きられません
水の中ではあれほど高速で自由自在に泳いで、しかも大きくジャンプもできるイルカを見ていると凄く生命力を感じてしまいます。
でも、実際は水の外に出されてしまうと、長い時間生きていることはできません。
- シートで覆い
- 常時水を掛けて皮膚を濡れた状態に保ち
- 肺が潰れないようにシートなどで包むようにして持ち上げる
ようにしなければ、生きていることができません。
人間が水の中では非常に弱い存在になってしまうのと同じように、イルカは空気中では弱い存在なんです。
万が一、海岸に打ち上げられたイルカ・クジラがいたらどうすればいいのでしょうか
もし海岸で挫傷しているイルカやクジラを発見した時は、素手で触れたり、海に戻そうとする前に、関連機関に確認するようにしましょう。怪我をする場合もありますし、素手で触ることで相互に細菌・ウイルスなどに感染する恐れもあります。
苦しげにしている姿をみて直ぐにでも助けたいという気持ちになるかも知れませんが、お互いにリスクがありますので、必ず関連機関に連絡して、指示を仰いでください。
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