仙台空港で小型機が胴体着陸 怪我人無し
2019/06/13
目立つ小型機の胴体着陸
11月16日午後0時25分頃、宮城県名取市にある仙台空港のA滑走路(2本ある滑走路の短い方)に小型プロペラ機が胴体着陸しました。
この小型機は、ビーチクラフトA36型機という単発のレシプロエンジンを積んだプロペラ機で、当時は
- 54歳男性:離着陸の訓練をするために操縦(自家用操縦士の資格あり)
- 76歳男性:教官役(報酬を受けて操縦できる事業用操縦士の資格あり)
の2名が搭乗していましたが、二人とも怪我はありませんでした。
Runway12から進入し、胴体着陸をして機体はA滑走路に残ってしまいましたが、B滑走路に影響が出ない場所でしたので、幸いB滑走路を使用して仙台空港での離着陸を継続することが可能でした。不幸中の幸いです。
訓練飛行のため午後0時18分に離陸して、「タッチ・アンド・ゴー」と呼ばれる離着陸訓練を5回繰り返す予定でしたが、1回目で胴体着陸してしまいました。この飛行機から管制官への緊急連絡はなく、現時点ではトラブルの原因は不明とされています。
しかし、2人が所属する飛行機愛好家によるクラブ「飛翔会」の事務局長が朝日新聞の取材に対して「操縦士から、車輪を出し忘れたと聞いた」と話しています。
タッチ・アンド・ゴーは基本中の基本
未だ免許を取得する前の教習でもタッチ・アンド・ゴーは繰り返し、繰り返し行われます。僕が教習時に乗っていたのは、車輪が格納することができないタイプの機体でしたので、この点だけは安心でした。
例えが正しいのかどうか分かりませんが、スポーツの前のルーティン、例えば柔道の受け身やテニスのショートラリーなど、は初心者でもプロでも同じように行います。タッチ・アンド・ゴーはそんな感じなのかなと実習当時は思っていました。
毎回同じ項目をチェックして、同じ動作・操作をしてタッチ・アンド・ゴーを繰り返すので、ミスのしようがないように思うかも知れませんが、それでもミスは起きてしまいます。僕も一度キャノピー(コックピットを覆う屋根)を閉め忘れてテイクオフの手順に入ったことがあります。その日は非常に暑く、機内の温度が上がったので、着陸をして、Taxiwayを離陸地点まで移動する間、キャノピーを開けて移動していたんです。で、滑走路に入る前にキャノピーを閉めることを繰り返していたのですが、一度だけ滑走路を加速し始めて漸くキャノピーが開いていることに気付き、テイクオフをキャンセルしてTaxiwayに戻ったことがあります。焦って脂汗でびっしょりになりました。
搭乗前点検、離陸前点検、離陸も着陸もタッチ・アンド・ゴーも、飛行に関する全てのことは細かい事項を常にチェックして、漏れがないようにする必要があります。僕はそれが苦手でしたが、殆どのパイロットはそれを毎回正確に行っています。ですが、時に漏れが起きます。
殆どの場合、余り重要ではない(命に関わらない)項目が抜けることが多いのですが、時に「これが抜けるはずはないだろう」という項目が抜ける場合があります。
今回はまさにそんな例ではないかと思います。
自由気ままに飛んでいるように見える小型飛行機ですが、コックピットはランチタイムのレストランの厨房なみにてんやわんやになります。飛行場に着陸するには、その飛行場毎のサーキットというルートを通らなければなりません。しかも、高度もきっちり決まっていますし、風向きは毎回違いますので、風向きに合わせて、機首の向きを変える必要があります。サーキットは高度が高くありませんので、高度管理も厳格で、高度計からは目が離せません。車輪を格納している機種では、車輪も出さなければなりません。着陸間際にはフラップを出し、直前にはフラップを更に最大まで出します。失速しないように失速警報機の音にも注意を払う必要があります。滑走路に間違って侵入してくる飛行機がいないか、滑走路に残ったままになっている飛行機がいないかにも注意する必要があります。そして、何より英語で管制塔と交信をしなければなりません。マルチタスクが苦手な僕には地獄のように難しかったです。というか、そもそもチャレンジすべきではなかったのかも知れません。
あの頃は若かったので、ギリギリでしたがクリアすることができましたが、今の僕には絶対に無理です。ほぼ二次元を移動する自動車とバイクが限界です。
僕ほどマルチタスクが苦手にも関わらず果敢に飛行機操縦資格に挑戦する人はいないと思いますが、中には加齢に伴ってマルチタスクをこなす能力が衰え、今回のように凡ミスを犯すケースが考えられます。海外の事情は分かりませんが、国内では小型飛行機操縦士の高齢化が進んでいると思います。となると、今後加齢に伴う判断力・反射速度の低下によって、車輪の出し忘れなど、通常では考えられないミスによる航空機事故の増加が心配されます。
航空機事故にも高齢化などによる影響が心配されます
高速道路の逆走や歩道上の暴走など、高齢者による自動車事故が問題になっています。高齢者の免許更新を今後どのようにするべきなのか、議論がされていくことになると思いますが、小型飛行機の免許も同様に議論がされる必要があります。
自動車免許と比べれば遥かに件数が少ないため、その必要性は気付かれにくいのですが、ただ一回事故が起きると自動車の比ではないほど重大化する恐れがありますので、軽視することはできません。
高齢化だけではなく、危険な思想に染まってテロリストの片棒を担いだり、家族を人質に取られ強迫されてしまったりして、自家用飛行機によるテロ行為の可能性も今後高まる恐れがあります。
調布飛行場で起きた飛行機墜落事故も、直後は騒がれましたが、今は飛行場周辺限定の問題になってしまっています。今一度小型飛行機に潜むリスクについても議論をする必要があると思います。
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