RSウイルス感染症が流行の兆し
2019/06/13
国立感染症研究所によると、RSウイルスの感染が拡大しており、南・西日本から東日本へ広がっています。時期と動きは例年通りですが、過去5年平均よりも患者数が多くなっていますので、今後の動向には注意が必要です。
RSウイルスによる感染症をまずは知りましょう
乳幼児に気管支炎や肺炎など急性呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。大人でも免疫不全を起こしていたり、高齢者であったりする場合は、劇症化する恐れがあります。
- 新生児・生後6か月以内の乳児の細気管支炎の50~90%
- 乳幼児の肺炎の約50%
が、RSウイルス感染症だと言われています。
母親からの抗体で感染を防ぐことはできません。生後4週未満では感染頻度が高くありませが、感染して発症した場合は、
- 呼吸器症状を伴わない非定型の症状となることが少なくないため、発見の遅れや誤診に繋がる恐れがあります
- 生後4週未満の突然死(乳幼児突然死症候群)につながる無呼吸が起きやすいとの報告もあります
生後6ヶ月以内で最も重症化すると言われますので、特に注意が必要です。
潜伏期は2〜8日、典型的には4〜6日。日本では8月末から9月かけて感染者が増え始め、11月から1月にかけて流行を起こします。
ウイルスとしてはそれほど強い部類ではなく、
- 凍結からの融解
- 55°C以上の加熱
- 界面活性剤
- エーテル・次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系消毒薬
などを使用すると不活性化できます。
石鹸での手洗い、殺菌用ハンドジェルで不活性化することができますので、是非活用しましょう。
RSウイルスに対する免疫
母親からの抗体では感染を防ぐことができません。
- 生後1歳までに50%以上が感染
- 2歳までにほぼ100%が感染
母親からの抗体では感染が防げず、発感染でも終生免疫を得ることはできません。そのため、再発を起こし易い感染症のひとつですが、くり返し感染発症しながら徐々に免疫を獲得していき、徐々に軽症化します。
症状が劇症化する可能性がある期間は、感染には特に注意してください。
RSウイルスの感染を防ぐ方法
感染経路としては、
- 飛まつ感染:患者の咳やくしゃみなど
- 接触感染:ウイルスの付着した手指や物品等を触って、それが体内に入る
家族間では飛まつ感染も接触感染もあり得ますので、乳幼児や高齢者が家族内にいる場合は、特に注意しましょう。
鼻の粘膜だけではなく、眼の粘膜からも感染すると考えられていますので、鼻と口を覆う通常のマスクだけでは予防は万全ではありません。家族内に感染者が出た場合は、感染者がウイルスを飛散させないようにマスクをすることと、接触感染を防ぐための手指の衛生管理が重要になります。
ただ、
- 潜伏期間(2~5日)
- 症状が消えてから1~3週間は排菌が続く
の間も感染力を保ちますので、近くに感染者がいない場合でも、一般的な感染症予防策
- マスク
- 手洗い
- うがい
などを、RSウイルスが流行する期間はしっかりと行うことが大切です。ちょうどインフルエンザが流行する時期にも重なりますので、マスク、手洗い、うがいを徹底して、感染を防ぎましょう。
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