新耳糞清浄論
2019/06/13
過去記事『「目糞鼻糞を笑う」と耳糞歯糞が笑う』で目糞・鼻糞だけではなく、耳糞・歯糞も同じように菌だらけなことを紹介しました。なんですが、この4者の中では、もしかすると耳糞だけが独り勝ちして高笑いしてそうな様相を呈しています。
耳糞はある意味一番きれい
目糞・鼻糞・歯糞は粘膜などの老廃物と分泌されたリゾチームによって殺された細菌と元々そこにいた常在菌との混合体になっています。ただ、耳糞だけは外からの細菌の侵入が少なく、殆どが皮膚の老廃物とリゾチームと常在菌とでできています。
皮膚の老廃物と常在菌なので余り綺麗とは言い難いのですが、余り外部から細菌が侵入せず、リゾチームを含んだ皮膚の老廃物が殆どだと考えると、やはり目糞・鼻糞・歯糞よりもきれいと言えます。
無理に取り除く必要はありません
耳糞は外耳道の皮膚の垢です。
その外耳道は、奥から骨部と軟骨部に分かれていて、皮膚は骨部から軟骨部に向かって鼓膜の方から成長し、移動しています。そのため、耳糞は鼓膜の近くに溜まらず、骨部と軟骨部の境界辺りに溜まるようにできています。
耳糞を溜めると耳の穴(外耳道)を塞いだようになってしまうことがありますが、あの蓋ができるのが境界辺りです。耳の聞こえを明瞭に保つにはある程度耳糞を取ってもいいですが、取り過ぎるのは良くありません。リゾチームを含む耳糞は細菌や虫が耳に入ってしまった時に鼓膜へ到達し、侵してしまうことを防ぐ砦のような存在なので、清潔にしようと全て取ってしまうと逆に鼓膜へ細菌や虫が到達してしまう恐れがあります。
耳糞が外耳道を塞いでしまっても、少しずつ剥がれて外に出てくるため、分厚い蓋になって耳が聞こえなくなったりすることはありません。逆に耳掃除のし過ぎで、外耳道や鼓膜を傷付けてしまう恐れの方が大きいので、し過ぎには注意しなければなりません。
また、外耳道の奥(骨部)の鼓膜付近には耳糞は溜まりませんので、綿棒や耳かきを奥の方まで突っ込むことは止めましょう。鼓膜や骨部を傷付けるリスクを高めるだけで、何もメリットがありません。
「無理に取り除く必要はありません」と書きましたが、必要がないというよりも、無理に取り除いてはいけません。
綿棒による掃除には要注意
「綿棒による耳掃除は耳糞を押し込んでしまう恐れがあります」とは良く言われますが、仮に押し込まないように注意しても、耳糞が少ない外耳道の奥へ綿棒を差し入れることで、外耳道の入り口付近にいる細菌を無防備になった外耳道の奥や鼓膜に届けてしまう恐れがあるため、止めた方が安全です。
耳糞は外耳道の保護バリア
耳糞と言われると取り除かねばならないと思ってしまいますし、耳が痒い時に耳かきで掻く快感が癖になって止められなくなったりもしますが、リゾチームを含んで外耳道と鼓膜を細菌や虫から守ってくれる耳糞(耳垢:じこう・みみあか)は取り過ぎてしまわないように注意しなければなりません。特に細菌を入れてしまう恐れのある綿棒は入口付近の掃除だけに限定して、骨部と軟骨部の境界まで入れないようにしましょう。
目糞・鼻糞・歯糞は取り除いて清潔に保つ必要がありますが、耳糞だけは残すことで細菌や虫から守る存在であることを忘れず、これからは取り過ぎないように注意しましょう。
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