チャドクガの毒針は「庭の生物兵器」

洗いたての洗濯物を着たらチクチクし、みるみるうちに発疹が出たり、干してふかふかになったブランケットを使った翌朝に体中に痛痒い発疹が出たことはないですか？僕は何度もあるんですが、毛虫だろうということは予想していましたが、長い間どの毛虫か不明でした。

病院にいけばきっとチャドクガか何らかの毛虫だと診断されると思いますが、虫に詳しくないひとだとダニだと思ってしまうかも知れません。掃除機かけても、ダニアースしても無駄ですよ。毒針は外を飛んでいますから。

その発疹、きっとチャドクガです

もし庭にツバキ科の植木（ツバキ、サザンカ、チャノキ）があったら、発疹の原因はチャドクガだと思って間違いないです。

桜の木に多いイラガ（電気虫）の場合は、ほとんどが直接刺されるのでどの毛虫が刺したのかが分かるのですが、チャドクガの場合は毛が脆く、生きているうちから風に乗って飛んでくるので非常に厄介です。

庭にツバキ科の植物が無い場合でも、もしかすると近所の家から風に乗って飛んできたのかも知れません。洗濯物や干した布団などで刺された場合は、暫く部屋干しや布団乾燥機に切り替えた方が安全です。

チャドクガは終生毒針を持ちます

「栴檀は双葉より芳し（せんだんはふたばよりかんばし）」ということわざがありますが、チャドクガは卵の頃から「芳しい」です。卵の周囲が毒針で覆われ、捕食を防いでいます。親の知恵ですね。大迷惑ですけど。

そして見るからに毒のありそうな毛虫時代は勿論毒針を持ちますが、成虫になってもなお毒針を持っています。

どうしようもない位に厄介なことに、脱皮した後の皮についた毒針が毒を失わないため、それが風に乗って刺します。これが「洗濯物やブランケットが刺す」原因です。まさに「ゆりかごから墓場まで」です。

卵から脱皮した皮についた毒針や死骸の毒針まで刺す生き物は余りいないかも知れません。恐るべしチャドクガ。

チャドクガ対策

自宅の庭にツバキ科の植物がある場合は、チャドクガが発生していないか確認して、駆除しましょう。ぞんざいな扱いをすると毒針が飛びますので、要注意です。

卵や幼齢毛虫が群れになっている時は、そっとビニール袋を被せて、葉か枝ごと切って、焼却しましょう。もし、毛虫が成長して木全体に広がってしまったら殺虫剤散布しかありません。死んだ幼虫から毒針が飛びますので、できれば広がる前に駆除しましょう。

刺されてしまったら

ひとの処置

刺されたらシャワーを浴びて、石鹸で優しく洗い流しましょう。絶対に掻きむしらないこと。刺さった毒針が折れて、広範囲に刺さります。とにかく石鹸で洗い流してから、病院へ行きましょう。（ステロイド・抗ヒスタミン薬軟膏が効きますが、処方してもらった方が確実です）

万が一、毒針が目に入った場合は、速やかに目を穏やかな流水で洗い流し、至急眼科を受診してください。

衣類などの処置

服などに毒針が付いた場合は、洗濯をしても取れません。むしろ折れた毒針が洗濯物全体にまぶされます。掃除機で全体を吸った後に、ガムテープなどで丁寧に毒針を取り除くのは一応効果があります。

チャドクガの毒はタンパク質なので高温で破壊されます。

• 50℃以上のお湯につける
• アイロンでスチームを当てる
• 乾燥器にかける

チャドクガの毛虫1匹の毒針は50万～600万本と言われていますので、ガムテープよりも高温で無効化の方が安心です。

汚染された服などは捨てるようにアドバイスされている自治体もありますので、捨て時期が近いものは思い切って捨ててしまいましょう。こどもの衣類は特別なもの以外は捨ててしまった方が安全です。大人用のものは熱処理を試してみて、ダメな時は諦めましょう。

ベストは幼齢毛虫までに駆除することです

毒針の処置は非常に大変で、これが「庭の生物兵器」と呼ばれる所以です。

駆除するなら、できれば卵の段階に、遅くとも幼齢毛虫の時期に駆除してしまいましょう。葉が生い茂ると見付けるのが難しくなりますので、ツバキ科の植物は常にきちんと剪定しておくのも重要です。