裏口入学と通用口入学

入学には表口からの正規の入学と不正な裏口入学があることは常識ですよね。少子化のせいか、最近は裏口入学のニュースを聞かなくなりました。でも、実はもう一つの入学があるのを知ってますか？余り知られていないので、名称もありません。なので、この機会に「通用口入学」と名付けます。（勝手に）

通用口入学ってどんな入学方法

私学には「渉外担当」という肩書の先生がいます。色々な役割がありますが、メインの一つは学習塾とのパイプ開拓と維持、そして塾経由での優秀（「優秀」には色々な含みあり）な生徒の確保です。もし学校の名前の入った大きな紙袋に筒状に巻いたポスターを詰めて歩いているスーツ姿のひとがいたら、それがその学校の渉外担当だと思っていいです。そのひとが塾にいたら、まさに渉外中です。

その渉外担当と塾とのパイプ経由で送り込まれる形での入学が「通用口入学」です。

どうすればパイプ（通用口）を通れるの？

裏口はカネとコネですが、こちらは学力や塾の利益への貢献度などです。

1. 通塾歴
2. 模試の受験回数と成績
3. 塾と生徒（および家族）との関係

1の通塾歴ですが、長く通っていた方がいいです。受験の直前に入塾した子よりも、長い期間通っていた生徒の方がデータもありますし、塾の利益への貢献度も高いので塾側も推します。

2の模試の受験回数と成績は、やはりデータが多い方が学校側も安心して獲れますし、塾側も利益に貢献した生徒ですので、頑張って推します。もちろん成績は高い方が有利です。

3の塾と生徒（および家族）との関係ですが、受験回数が少ない（通塾期間が短い）けれど模試の成績がバツグンの生徒と受験回数が多い（通塾期間が長い）けれど成績がイマイチの生徒との比較になると苦慮すると思いますが、もし通塾期間の長い生徒が凄くいい子で、その家庭環境も非の打ちどころがない場合はそちらを獲るでしょう。渉外は一発試験と通知表だけでは分からない安定した優秀さを求めるために存在しています。

ただ、色々な理由で力を持っている方のご子息やご息女の場合は、結構な力で塾はねじ込みますし、学校側も塾とのパイプを維持するために受け入れる場合もあるようです。

残念ですが結局カネです

裏口入学はカネもかかる上に発覚すれば親子共々社会的な制裁を受けます。社会的な制裁を覚悟しても、なかなかそのカネを工面できる方ばかりではないでしょう。僕は絶対無理です。

その点、通用口入学はグレーゾーンなので（今のところ）安全です。ですが、長い期間通塾して、模試などでもある程度の成績を残さなければなりません。もし模試の成績が悪い場合は、夏期講習・冬期講習・春季講習・受験前特訓・補習のフルコースに親子共々耐えなければなりません。こどもは勉強する意欲があるかどうかを見られ、親は学費を負担した上に入学後に学校への寄付などにも貢献できる財力を見られます。これをパスしたものだけに通用口の扉が開くんです。

この道を狙う位なら、地道に勉強して成績を上げる方が楽かも知れません。でも、頑張っても頑張っても報われないこどもへの密かな救済策だと思うと、仮にその存在を知った表口入学の生徒もその家族も仕方がないと思えるのではないでしょうか。

本当に渉外は存在するの？

渉外は確かに存在します。でも、渉外対象になったかどうかは本人や家族にも知らされません。というか、この存在自体が都市伝説的な感じになっています。

進む少子化で渉外による生徒獲得競争がますます激しくなっていると思いますが、そのうちブラックボックスが開けられる日が来るんじゃないかって思っています。

今は裏口近くの通用口ですが、そのうち表に回って、第二の表口になる日が来るかも知れません。学校の通知表と同様に塾の成績が評価されたり、模試の成績が正式に入学試験の代わりになったりする可能性もゼロではないかも知れません。

通用口入学が裏口扱いされて扉が閉まるのか、はたまた第二の表口化するのか、動向を見守っています。