風邪のウイルスが心臓に入ると突然死の可能性
2019/06/12
「ごめ~ん。息子のインフルうつっちゃったから休むね」そう言ってた同僚が亡くなった。(詳細はBUZZmag.jp)
という記事をネットで読まれた方もいるかも知れません。
そんなことがあるのだろうか!と思われた方、実はそんなに珍しいことではないんです。
風邪ウイルスによるウイルス性心筋炎
「風邪」と気安く口にしてしまいますが、実は400種類にものぼる色々なウイルスによって引き起こされる色々な症状をまとめて「風邪」または「風邪症候群」と呼んでいます。
「風邪」または「風邪症候群」を起こすウイルスには、
- コクサッキーウイルス
- エコーウイルス
- アデノウイルス
- インフルエンザウイルス
- パラインフルエンザウイルス
- ライノウイルス
- RSウイルス
- コロナウイルス
- エンテロウイルス
などがよく知られていますが、赤字にしたウイルスは筋肉内に入ってウイルス性筋炎を引き起こす可能性があります。ウイルス性筋炎は、主にウイルス感染をきっかけに小児で発症する筋炎で、
- 良性小児筋炎:足に限定されて、数日で治る
- 中間型急性筋炎:手足の筋肉に筋肉痛と脱力が現れて、治癒に2~4週間かかる
- 重症型筋炎:大量のミオグロビンが形成される横紋筋融解症を起こす
と幅があります。このウイルス性筋炎でも十分に恐ろしい病気で、こどもが「風邪」を引いた時には
- 筋肉痛
- 筋肉の脱力
など、筋肉の違和感に十分注意しなければなりません。
上のようなウイルスが横紋筋内に感染して発症する筋炎とは異なり、心臓の筋肉(心筋)内に感染して発症するのが、ウイルス性心筋炎です。
元気にされていた方が、「風邪をひいたかも」と言っているうちに、突然心不全のような症状を起こしてあっという間に亡くなってしまうという突然死の原因に、このウイルス性心筋炎があると考えられています。
ウイルス性心筋炎を引き起こすウイルス
原因ウイルスとしては、多い順に
- コクサッキーウイルス
- エコーウイルス
- アデノウイルス
- インフルエンザウイルス
となっていますが、ウイルス自体を気をつけことは難しいので、いわゆる「風邪」を引いた際に、胸に異変を感じたら早めに内科・呼吸器科を受診して、胸に異変を感じていることを医師へ明確に伝えてください。
ウイルス性心筋炎を疑った方がいい症状
最初は風邪の症状が出ていたのに、
- 胸に違和感
- 手足が急に冷たくなる
- ひどい倦怠感
- 不整脈
- 失神
- 呼吸困難
- 心不全のような症状
が見られる場合は、ウイルス性心筋炎を疑った方が良いかも知れません。
「風邪」ではなく、ウイルス感染症と考えた方が安全です
「風邪」と言ってしまうと、「熱い風呂に入って栄養と睡眠を取れば治る」などと軽い病気のように思われがちですが、
ウイルス感染症
の一つです。
そのウイルスは腸に感染し炎症を起こすことは良く知られていますが、腸だけではなく、
- 横紋筋
- 心筋
- 脳(ウイルス性急性脳症)
などを引き起こす恐れもあります。
「風邪は万病の元」と昔から言いますが、本当に命に関わる恐れがありますから、「たかが風邪」と思わずに、十分に養生して頂いて、いわゆる「風邪」とは違う症状が出た場合は、既に病院にかかっている場合でも、「忙しいし、単なる風邪だから後でいいや」なんて先送りにせず、急ぎで再診察を受けてください。
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