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猛毒ヒョウモンダコが日本海を北上中 若狭湾でも捕獲

      2019/06/12

「殺人ダコ」の異名を持つ猛毒のヒョウモンダコが太平洋側だけではなく、日本海側でも北上していると報じられています。

元々は西太平洋の熱帯・亜熱帯に生息するタコで、昔は和歌山辺りが北限と思われていましたが、今では関東でも目撃されています。海水浴の季節には注意するように言われています。

危険!ヒョウモンダコに注意!!(横浜市港湾局)

ヒョウモンダコ

 

冬場の若狭湾でヒョウモンダコが目撃

若狭湾と言えば、関西・東海・中国方面では有名な海水浴場です。でも、冬は厳しい寒さで、とても熱帯・亜熱帯に生息するタコが住めるような環境ではないと思えます。

でも、秋から冬に掛けてもヒョウモンダコが見付かり、しかも中には体長2センチ以下の幼体も見付かっていますので、南から海流に乗って流れ着いた個体が住み着いただけではなく、若狭湾内で繁殖もしている恐れがあります。

地球温暖化によって、若狭湾でもヒョウモンダコが越冬できる場所が出来てしまっているようです。日本では冬を越せないと言われていたセアカゴケグモが定着してしまっていることと同じです。全ての場所では越冬できる訳ではなくても、特に暖かい場所を見付けて越冬を可能にしています。

この先、更に温暖化が進めば、太平洋海側だけではなく、日本海側でも北限が北に移動していくと思われます。

今までヒョウモンダコがいなかった場所でも生息している可能性があります。暖かくなって、磯遊びや海水浴に行く時は、必ずこども達にもヒョウモンダコのことを説明してあげてください。

ヒョウモンダコも、他のタコと同様に擬態が得意です。起こらせなければ、特徴のヒョウモン(豹紋・豹柄)が出ていない場合もあり得ます。

10cmまでの小型のタコはヒョウモンダコの可能性があります。

漁師でさえも、「イイダコ?」と勘違いしたとも言われています。

小さなタコは絶対に触らない

できれば、どんなサイズでもタコには決して触れない

これが安全です。

ヒョウモンダコの毒はテトロドトキシンです

テトロドトキシンと言えば、フグが有名です。

食べると麻痺して、呼吸が止まり、心肺蘇生をしなければ、死にます。

テトロドトキシンを持つ海の生物は、

  • 魚類:トラフグ・クサフグ
  • 甲殻類:スベスベマンジュウガニ・カブトガニ・ウモレオウギガニ
  • タコ類:ヒョウモンダコ
  • ヒトデ類:トゲモミジガイ・ハナムシロガイ
  • 貝類:キンシバイ・ボウシュウボラ

などです。食中毒を起こす可能性があるのは、フグの他にはキンシバイもあります。(過去記事「長崎県松浦市 男性がキンシバイを食べてフグ毒中毒」も読んでみてください。)

フグやヒョウモンダコが持つ猛毒のテトロドトキシンですが、フグやヒョウモンダコが生成する訳ではなく、V. alginolyticus(ビブリオ・アルギノリチカス)という細菌が生成したものを、食物連鎖による生物濃縮によって獲得すると考えられています。

淡水に住むイモリの中にテトロドトキシンを持つ種がいますが、どのように毒を獲得しているのか、起源が解明されていません。ということは、他にもテトロドトキシンを持つ生物がいるかも知れませんので、不用意に珍しい生き物を食べることは避けた方が安全です。

ヒョウモンダコに噛まれてしまった場合の対処法

ヒョウモンダコに噛まれてしまい、テトロドトキシンを注入されてしまうと麻痺が起こります。テトロドトキシンの毒性は青酸カリの850倍と言われていて、人間の致死量は1~2ミリグラムと言われています。ほんの少し噛まれても危険です。

テトロドトキシンには、

  • 解毒剤
  • 治療方法

がありません。

毒がまわると、脳から肺への神経伝達が遮断されてしまい、呼吸ができなくなります。麻痺の比較的早い段階で呼吸が止まり、それが死因となる可能性があります。磯遊びや海水浴中に噛まれてしまうと、水中に倒れこんでしまう恐れがあり、非常に危険です。とにかく踏まない、触らない、噛まれない、それが肝心です。

万が一、噛まれてしまった場合、20分から数時間で症状が現れます。

麻痺が進んで呼吸が止まってしまうと死んでしまったようにも見えます。ですが、実際には、

  • 意識はあります
  • 心臓は動いています

身体各部の麻痺と呼吸が止まった状態に陥っています。

ですから、噛まれてしまった場合は、

  1. 至急救急車を要請
  2. 海から引き上げて、安静にさせて、人工呼吸の準備をして待機
  3. 自発呼吸ができなくなったら、人工呼吸の開始

仮に救急車の到着までに時間がかかったとしても、人工呼吸をして、酸素を脳に送り続けさえすれば命は助かります。焦らずに、人工呼吸を行ってください。

テトロドトキシン中毒の場合、自発呼吸だけが止まってしまい、心臓や脳は動いています。呼吸が止まった場合、念のため脈の有無を確認して、

脈がある場合は、絶対に心臓マッサージはしない

ように注意しましょう。

人工呼吸をしっかりすれば、命を落とすことは避けられますが、とにかく

どんなに小さくても、タコを踏まない、触らない、噛まれない

これに気をつけて、安全に海で遊びましょう。

追加:イイダコと間違って食べないでください。テトロドトキシンは300度の高熱に耐えるため、煮ても焼いても中毒を起こしてしまいます。運良く噛まれなくても、食べれば中毒を起こします。くれぐれもご注意ください。

 - 健康, 動物, 安全, 屋外, , 生活, 育児

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